今日は、私たちの「土づくり」についてお話したいと思います。
私たちは自分たちの栽培法を「自然栽培」と言っています。
私たちの「自然栽培」は、農薬、化学肥料はもとより、鶏糞やボカシなど、有機肥料を含む養分補給を目的とした一切の肥料を必要としません。
無肥料栽培、無施肥栽培とも言われることもありますが、私たちがあえてそう言わないのは単に肥料を使わないだけでは、やはり、作物は育たないケースが多いからです。
次の写真は、数年間、放置された畑を今年の春、トラクターで起こして、カボチャの種をすぐに撒いたもの。今秋に土づくりをやるまでに畑が空いてしまうので、余った種を試しにまいてみました。播種から2ヶ月近くになりますが、生長がとまってしまいました。
下の写真は、昨年まで長年放置されていた畑を近所の有機農家さんが昨年から無肥料で作物を作った後を、今年借り受けて種を撒きました。よく育っていますね。
両方の畑はともに、長年放置されていていわゆる肥料分は殆どのこっていません。同じ地域、同じ時期に種まきをして、一方が特に日当たりや水はけが悪いとかそういった悪条件でもありませんが、このような差となっています。おそらく、前者の写真のカボチャはこのままあまり育たず枯れてしまうと思います。
無肥料で育つといっても、それは、自然のエネルギーをうまく吸収できる環境が整っている場合に可能となるのであって、下のカボチャはそういった環境になっていたと思います。そのように環境を整えるのが、私たちが取り組む土づくりです。そういった環境でよく育った野菜、お米が、人間にとっても、おいしく、体に良い食べ物だと私たちは考えています。
一般に「土づくり」というと、野菜の種を撒く前に、元肥とよばれる肥料を土に混ぜたり、酸性度を調整するために石灰を入れて中和させたりするわけですが、私たちの「土づくり」は、そういった資材を使いません。数年をかけて、植物の根を使って固い土を砕き、有機質の豊富な状態にして、土の団粒化を進めます。
前回のブログでライ麦の収穫の様子を紹介させていただきましたが、麦類の栽培も、収穫が目的なのですが、麦類の深く、広く伸びる根で土づくりをするのがもう一つの大きな目的となっています。ライ麦を収穫した後の土は、柔らかく、しっとりしていて、野菜たちがよくそだってくれそうな土に変化しつつありました。
私たちの取り組みは今年の春始まったばかりです。
まず、作物を育てる前に、土づくりから。
気の長い取り組みとなりますが、年々進化する土の様子を、作物を通じて見守っていただければと思います。
桑原広樹