前記事で告知いたしました「くど」の土壁づくりの第一弾!来週の日曜日5月18日に行います。
粘土をよく練って、わらを混ぜて土壁の材料をつくります。
私たちの土壁づくりは、鳥取県倉吉市で左官業を営む佐治さんのご指導のもと進めています。
佐治さんはお父さまから左官業を受け継ぎ、左官の伝統的な技を学び、日々、研究と研鑽を重ねられておられます。時に重要文化財の補修も依頼されるなど、お若いながらも一流の技術と、豊富な知識をお持ちです。
本業である左官業の傍ら、日本古来の伝統である土壁と漆喰のすばらしさを伝えるため、ボランティアで土蔵の解体や、移築、改修を行うワークショップを主催されています。
私たちは、今、「くど」と呼んでいる店舗兼事務所をつくっています。できるだけ天然素材で、しかも地元の材料でつくりたい。という思いのなか、農家である私たちが、自分の田んぼで採れた稲わらでの土壁づくりをやる。
半ば夢というか、憧れであった土壁が、佐治さんとの出会いで、一気に現実の話になりました。
佐治さんは言います。
「日本古来の建築技術は本当に美しいのです。それは完成時の美しさもさることながら、完成に至るまでの様々な工程で見せる建築の表情は惚れ惚れするくらい美しいのです。」
冒頭の画像は「くど」の一部分をデモンストレーションでモルタル塗りをしていただいた時の様子です。佐治さんの後ろ姿、流れるような所作は本当に美しい。
そしてこれは、「木摺り」といって、土壁を塗る下地となる部分です。こちらは私たちのDIYです。土壁は接着剤を使わないので、平らな壁には塗れません。画像のように、等間隔にあけた隙間に土が入り込むことによって、土が引っかかり塗ることができるのです。
ですので、この「木摺り」は土を塗ってしまったら見えなくなってしまいます。もったいないなと思うくらい素敵な表情を見せてくれます。
佐治さんは続けます。
「日本の伝統建築は、千年以上の経験の蓄積からたどり着いた合理性で満ちあふれています。それは、建築途中の建物にはっきりとみることができます。下地の張り方、縄の編み方。全ての工程において、一切の無駄が省かれ、必要なものが、必要な姿で存在している美しさ。つまり”用の美”がそこにはあります。わたしは、皆さんにも用の美である”工程の美しさ”を見てほしいのです。」
佐治さんから「美しさ」という言葉を聞いて、私たちは息をのみました。
私たちは、素晴らしい米や野菜は、それそのものの味や姿、形だけに注目するのではなく、それがどういう環境で育ったものなのか?そういったところまで意識を広げるべきだと考えています。
素晴らしい食べ物は美しいところから産み出されるものなのではないか?という感覚があって、美しくて気持ちのいい田畑にしていこう!という意識が常にあります。
実際の私たちの田畑は、まだまだ佐治さんのおっしゃる「工程の美しさ」というレベルには程遠いですが、佐治さんのご指導のもと、土壁づくりを行っていく中で、私たちが理想とする本当に豊かな”農”や”暮らし”の具体的なヒントを得られるのではないか?と感じています。
これから、土練り、粗壁塗り、裏戻し、むら直し、中塗りと、土壁づくりの工程が進んでいきます。18日はその第一歩である「土練り」です。できるだけ、すべての工程で興味のある方は参加できるようにしていきたいと思っています。各工程の美しさと佐治さんのお話をお聞きになりたい方はぜひ、ご参加ください。
参加を希望される方は、お気軽にこちらまでお問い合わせください。詳細をご連絡させていただきます。
info@hiruzenkougei.com
桑原広樹